2016年読了本からのオススメ10冊

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 あっという間に2016年も終わり、三が日まで終わってしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 私は、年末からずっと偏頭痛が続いており、ほとんど活動ができずにいました。さすがに病院に行くべきか…。

 そんなわけで、本来なら昨年中にやっておきたかった、2016年に読了した本からのオススメの紹介をやっておきたいと思います。

―取り上げる10冊― <クリックで各項目に飛べます>
①松岡修造『本気になればすべてが変わる』(文春文庫、2011)
②本田健『ユダヤ人大富豪の教え』(だいわ文庫、2006)
③水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社、2011)(文庫)
④リチャード・ワイズマン『その科学があなたを変える』木村博江訳(文藝春秋、2013)
⑤中崎タツヤ『もたない男』(新潮文庫、2015)
⑥山本ケイイチ『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』(幻冬舎新書、2008)
⑦飲茶『史上最強の哲学入門』(河出文庫、2015)
⑧高橋昌一郎『理性の限界』(講談社現代新書、2008)
⑨高橋昌一郎『知性の限界』(講談社現代新書、2010)
⑩坂口恭平『独立国家のつくりかた>』(講談社現代新書、2012)

 

 昨年は、これまでほとんど読んでこなかった自己啓発書、ビジネス書を読書の中心に組み、100冊程度の本を読みました(再読を除く)。

 自己啓発書、ビジネス書の類は、実際に読んでみると面白く、ためになることも多かったのですが、読み進めていくうちに、大半の本はその内容に大差がないことにも気付きました。結局、人生において必要なことはそう多くなく、それを確実に実行に移せるか、生活に組み込めるかこそが重要だということなのでしょう
 昨年はあまり実践に移せなかったため、今年はそれら読了本の内容を積極的に実践していきたいと思います。

 というわけで、まずは自己啓発書、ビジネス書系からのオススメの紹介です。


①松岡修造『本気になればすべてが変わる』(文春文庫、2011)

 本書を読むと、著者がこれまでの人生で、いかに”自分の頭で”常に考え、それを反映させて生きてきたかを感じ取ることができます
 そして、それを感じ取れるからこそ、読み手に響き、”本としての価値”を持つに至っていると思う。

 スポーツ(テニス)で結果を出し、次世代の育成やメディアの出演もこなすその背景には、確かなものがあるのですね。

—-引用—-
「…マイナス言葉が出てしまったら、『できない――。だけどトライしてみようかな』『疲れた――。でも、もうひとふんばりだ』と、前向きな言葉を一つ付け足してみましょう。これだけで、気持のあり方がぜんぜん違ってきます」

「思いどおりにならないときでも、そこでしか学べないものはあると思います。…自分にできることを見つけてアクションをおこさないかぎり、ものごとは何も先には進まないのです」

「『あと少しなのに失敗した』ではなく、『あと少しだから次はうまくいく』と考える」

「笑うことで心が前向きになり、からだもリラックスして、前に進むことができる。『笑い』に悪い効果は一つもありません。みなさんも、どんどん笑いましょう。苦しいときこそ、笑った者の勝ちですよ!」
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②本田健『ユダヤ人大富豪の教え』(だいわ文庫、2006)


③水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社、2011)(文庫)

 この手の本(数十冊読みました)でよく見られることが、巧く、そして読みやすく詰められている本
 この2冊の内容を実践できれば、他の本はほぼ必要ないのではないかと思います。

—-引用(『ユダヤ人大富豪の教え』)—-
「君が世の中に対して与えたサービスの量と質が、そのまま君の受け取る報酬に等しくなる。…普通の人は、『人からもらえるもの』にしか興味がないのだ。だから、金持ちになれない」

「不自由人は、自分で自らを不自由にしている。…人生を見つめなおして、再構築するなんていうことに頭がまわらないんだ。…でも、実は、彼らが望んでいることなのだ。自分を変革する面倒な作業よりも、日々の生活に追われるほうがいいのだ。…その人が真剣に人生を変えようと決めるまでは、何も変わらないのだよ」

「大切なことはすぐ決められるようにならないければダメだよ。…よく決断は先延ばしにしようと言う人がいる。…でも、その人はよく見ると大きな決断を知らずにやっている。それは、『いまは決断しないでおこう』という決断だ。これが、人生で最も大きい落とし穴の一つだ。…その人は、人生を無駄に過ごすと決断していることを知らないのだ」
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—-引用(『夢をかなえるゾウ』)—–
「ほなら逆に聞きたいんやけど、自分のやり方であかんのやったら、人の言うこと素直に聞いて実行する以外に、何か方法あんの?」

「世の中のほとんどの人間はなぁ、『反応』して生きてんねや。…自分から世の中に働きかけるんやのうて、自分の周囲に『反応』しとるだけなんや。…反応し続けて一生終えるんや。そんなんで、自分の人生手に入れられるわけないやんか」

「どないしたらうまくいくか…みんな心の底では分かってんねん。…でもやれへんのや。…それは、『面倒』だからや。世の中のほとんどのやつらが凡人やってんのも、そいつらが『面倒臭がり』やだからや。それだけなんや!」

「…今、自分は何かを学んで、知識を吸収して、成長しとると思てるかもしらんけど、本当はな、成長した気になっとるだけなんや。…知識を頭に入れるだけでは人間は絶対に変われへん。人間が変われるのは、『立って、何かをした時だけ』や」
——————————————-

 自己啓発書、ビジネス書の類は、正直、上記3冊以外は、あまり読む意味がなかったかなぁ…とさえ思います。まぁ、それは実際に読んでみないと分からないことなので仕方ないのですがね。
 (例えば、話題になった『ゼロ秒思考』についても、ビジネス書の類をほとんど読んだことのない私でも、大分前に別の本で読んだ内容とほぼ丸かぶりで、その実践こそが重要なのだなぁと改めて認識する機会を持てたことにしか、ほぼ価値はありませんでした)


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 ここからは、自己啓発書、ビジネス書以外のオススメになります。

④リチャード・ワイズマン『その科学があなたを変える』木村博江訳(文藝春秋、2013)

 昨年読んだ本の中での一番のお気に入り

 ウィリアム・ジェームズに始まる、行動(外形)が感情や思考、性格、思想、肉体等に影響を与える(従来の心理学の逆方向)という説(著者は「アズイフ(のように)の法則」と命名)について、数多くの研究を参照しながら紹介する本です。

   その「アズイフの法則」や、紹介される関連研究自体が非常に興味深いのですが、日本の一般向けの書籍ではほぼあり得ないほど数多くの研究が紹介されているにも関わらず、それを抵抗感なく読ませる著者の力量にまず驚かされます。さらに、それら研究の紹介を通じて、読者に「理解」をもたらすと共に、合間に「メソッド」という形で、読者が本書の内容を実践に移しやすいような形で情報を提供する作りになっているため、実際の知識の運用、実行もしやすい作りとなっています

   総じて、非常に巧い本であり、日本人著者にも大いに参考にしてもらいたいと思うほどです。茂木健一郎が言った、「それぞれの国はそれぞれに文化を持っていてまったく違うけれど、英語という土壌で、それを持ち寄って、世界中のアイデアが共有される。いちばん厳しくも豊かな現場がそこにはある…。…英語が読めないならば翻訳書で、『世界のレベル』を学ぶこと…」(『頭は「本の読み方」で磨かれる』)ということを強く実感できましたよ。

   また、この本については、最初は図書館で借りて読んでいたのですが、少し読んだ段階で、「あ、これは買わなきゃ…」と思い、読み終わる前にamazonで注文するという、なかなか珍しい体験もさせてくれました。

 形式的に引用はし辛いですし、内容も結局は、「~であるかのように振舞うと、実際にそのような精神状態になるだけでなく、生理レベルでも変化する」ということに尽きるので、これ以上の紹介は出来ませんが、ぜひ多くの人に読んでもらいたい本です。



⑤中崎タツヤ『もたない男』(新潮文庫、2015)

 タイトルからも分かるように、ジャンルとしては”ミニマリスト系”の本になります。が、書かれていることが非常に極端なため、参考になる箇所はかなり少ないかと思います。

 それでもこうしてオススメに挙げるのは、その数少ない参考になる箇所の内容が、素晴らしいからに他なりません。
 個人的にとても感心したのは、“あってもいいものは、なくてもいいもの”という件と、ものを抽象的にしたのがお金であって、お金にはすべてのものの要素が入っています。…ものは物理的に存在するから、制約が起こってきます。お金だけにすれば、所有する煩わしさなしでものとつながっていられますという件。
 特に後者のインパクトは強く、これにより私のミニマリスト化が加速したように思います。この2つの件だけで、十二分にこの本を読む価値はあるでしょう。

 ただ、ミニマリスト系の1冊目としては(当然)オススメできないので、ミニマリスト方面に関心があり、且つその手の本を読んだことのない方は、佐々木典士『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』などから入ることをオススメします。また、女性の方には、飯田久恵『「捨てる!」快適生活』もオススメです。




⑥山本ケイイチ『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』(幻冬舎新書、2008)

 タイトルからは、筋トレに関連した啓発書といった印象を受けますが、実際のところは、筋トレを始めとしたトレーニングに関する、優良な「入門書」(≠「概説書)となっています。
 「トレーニングに関する十分な知識を、自分は持っている」と断言できる人以外の全ての人に、読んでもらいたい。

 また、筋トレに関する本では、Testosterone『筋トレが最強のソリューションである』 も、筋トレに対するモチベーションを非常に高めてくれるのでオススメ。
 時間がほとんど取れない(と思っている)方や、追い込むほどの筋トレまでする必要のない女性の方などには、森俊憲『読む筋トレ』も参考になるかと思います。

—-引用—-
「私が本書で伝えたいのは…『トレーニングの原理原則』…『よいトレーニングを続けるための考え方』だ。それさえ身につけておけば、あとは専門家のサポートや、本や雑誌などの情報をもとにして、一生、主体的に鍛えていくことができる」

「…自分をコントロールするのが上手な人であっても、『やめたい』と思うことが必ずある。…重要なのが、自分との対話だ。…自分はどうしてやめたいと思っているのか。…はっきりさせたら、あとはやめたい理由を削っていけば続けられる」

「なぜ日常生活以上の強度が必要かといえば、普通の生活を送っていたら、加齢にともなって筋力が衰えるだけだからだ。プラスアルファの負荷を加えなければ、筋力を強化するどころか、現状を維持することすらできない」

「自分が何のためにトレーニングを行うのか、目的を明確にする…。…ここを面倒くさがって省略してトレーニングを始めても、すぐに、『なんでこんな辛いことをしなきゃなんないんだ。やーめた』となってしまうのは、明らかだ」
————–



⑦飲茶『史上最強の哲学入門』(河出文庫、2015)

  高校時代には趣味として独学で倫理を勉強(センターでも利用)し、大学時には、”何をしてもいいが、何でもできなくてはいけない”といった雰囲気の政治学ゼミに所属していたこともあり、これまで哲学についての様々なレベルの書籍を読んできましたが、入門書としては本書がこれまで読んできたものの中で1番出来が良いかと思います。

 うまく内容を絞り、平易な文章で、これまでの人類の主だった思想(哲学)の「意義」と「流れ」を押さえることのできるつくりとなっていて、この1冊だけでも哲学についてのそれなりの知識を得ることができるうえ、もっと深く知りたいという意欲も刺激してくれる本でしょう。
 広く人に薦められる本です。

   また、2016年10月に文庫化したばかりの、東洋思想についての書籍もオススメです。 → 『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち




⑧高橋昌一郎『理性の限界』(講談社現代新書、2008)

⑨高橋昌一郎『知性の限界』(講談社現代新書、2010)

 大学時に買ったきり、長らく放置していた本。何気なく読み始めたところ、面白くて読む手が止まらないほどでした。

 著者が本書の目標として「読者に知的刺激を味わっていただくこと」と挙げているように、特定の知識や概念を理解するための本というよりも、様々な概念や研究の「存在」を知るのによい本となっており、まさに知的刺激溢れる本
 参考文献リストもしっかりしており、広く読まれるに耐え得る本だろうと思います。
 また、 対話形式であることなどもあって、なかなか難解な内容を含みながらも、興味深く読み進められる作りとなっています。

 個別に見ていくと、『理性の限界』では、「アロウの不可能性定理」「ハイゼンベルクの不確定性原理」「ゲーデルの不完全性定理」と、その周辺分野から、「理性の限界」について検討されており、文理に跨った分野が扱われているが、全体的に、論理学や哲学的な議論が多くなっています。
 そして、『知性の限界』では、大まかな作りは『理性の限界』と同じですが、「科学の限界」という対象の広いテーマ設定があり、『理性の限界』以上に登場する概念、理論等が多く登場し、ますます「知的刺激」が強い本となっています。無思考で科学を信奉する多くの現代人に特に読まれるべきものでしょう。

 (なお、同シリーズ3冊目の『感性の限界』は、ちょっと微妙です。
 「行為」「意志」「存在」の3つの限界を取り扱い、作り自体は『理性の限界』『知性の限界』と同じなのですが、それらに比べて話の広がりが狭く、早い段階で収斂していくので、知的刺激は前2作よりも弱くなっています。取り扱われる内容自体が巷でよく見られるものであるという点も、悪い意味で影響しているでしょう。
 ただ、決してつまらないわけではないので、『理性の限界』と『感性の限界』を読んで面白いと感じたら、続けて読んでみてもいいかと思います。)

 初めに書いたとおり、2016年は(これまであまり読んでこなかった)自己啓発書やビジネス書の類を中心に読んでいたために、どうしても内容の薄い(特に悪意はありません。より日常生活への距離が近いという意味)本が多くなる状態の中で、この2冊は特に、私の脳の機能低下を抑えてくれた有難い本となりました。




⑩坂口恭平『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書、2012)

 こちらも、買ったきり長らく放置していた本。読み終わったときには、もっと早く読めばよかったと、深く後悔したものです。

   内容としてはおよそ、路上生活者の生活の紹介などの記述を通じて、読者に新たな視点を獲得させ(筆者の言い方だと、多数のレイヤーの存在を認識し、解像度を上げ)、環境やシステムを変えることなく、新たな可能性や創造性に到達してほしいという狙い(や思い)で書かれている本だろうと思いますが、そう聞いてもおそらくピンとこないでしょう。

   ただ、“皆が何となく気付いているけど、自力では深く考える機会を持ち得ないようなことに輪郭を与えてくれる”といった、よく語られる”本の効用”がまさに当てはまる本であることは間違いない。生きることに対して余裕がない人、苦しい人、なんとなく「こんなものかなぁ…」と思っている人などにこそ、読んでもらいたいですね。

—-引用—-
「インフラなどの安定しているように見える社会システムは、…『ゼロ思考』でも対応できるようなレイヤーである。…そこには『思考』がないから『疑問』もない。それは…数ある真実のうちの一つにすぎない」

「社会システムのレイヤー、僕たちが勝手にそこに位置していると勘違いしている匿名化したレイヤーというのは、実は実体がないものだ。それは路上生活者たちのレイヤーと何ら変わらない。そういう視点を持っているというだけ…。幻想とも言える」

「何かを変えようとする行動は、もうすでに自分が匿名化したレイヤーに取り込まれていることを意味する。そうではなく、既存のモノに含まれている多層なレイヤーを認識し、拡げるのだ」

「自分が何者であるかなど関係ない。肩書きなど…どうでもいい。それよりも、自分の中の複雑な思考を、いかに態度をもって示せるかが重要なのだ。…僕は僕であればいいのだ」
————–


 さて、2016年に読了した本からのオススメの紹介は以上になります。

   今年は、これまで通り、学術系新書・文庫を中心に、合間に小説や実用書を読むスタイルで読書をすすめていきたいと思います。冊数については、昨年(と一昨年)と同じ100冊を最低ラインに、150冊程度は読みたいところです。

   それでは皆さん、よい1年を!


●オマケ

・ゆうきゆう、ソウ『マンガで分かる肉体改造 糖質制限編』(ヤングキングコミック、2015)
・ゆうきゆう、ソウ『マンガで分かる肉体改造 糖質制限&肉食主義編』 (ヤングキングコミック、2016)

 タイトル通り漫画なので、オマケとして挙げておきますが、糖質制限に関する本の類のうち、少なくとも私が読んだものの中では、情報量が適切で、且つ著者の体験のみに頼ることなく、関連研究が十分に挙げられているという点などから、一番出来がよいと思います。
 糖質制限に関心がある方はもちろん、特に関心が無い方も、糖質が体にどのような影響を与えているかなどは知っておいた方がよいので、ぜひ一読してもらいたいところです。

  食事に関する本では、南雲吉則『「空腹」が人を健康にする』(サンマーク文庫、2015)や、伏木亨『人間は脳で食べている』(ちくま新書、2005)なども、食事について改めて考える機会や材料を与えてくれるという意味でオススメです。


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