もうすぐ2017年も終わってしまいますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
そして、この1年を振り返ると、いかがだったでしょうか。
私は相変わらず、誰も幸せにならないであろう「思想モドキ」をtwitterで垂れ流し、それを元に記事をいくつか書いたりもしていましたが、野草や木の実の採取を始めたり、10数年ぶりに海釣りをやってみたり、ネット上である企画を立案・運営したりと、それなりに新しいことに挑戦できた1年だったように思います。
さて、この記事では昨年同様、1年間の読書の振り返りも兼ねて、今年読んだ本の中から人にお薦めできる本を紹介したいと思います。
ただ、昨年は読了約100冊から10冊を選出したのに対し、今年の読了は50冊程度と、かなり少なくなってしまいたため、4冊だけの選出となりました。
「読了数こそが大事」とは思いませんが、あたる冊数が多い方が(自分にとって)有意義な本に出会う機会も必然的に増えますし、多く本を読むことは言語能力を始めとした知能の向上にも資するでしょうから、来年は少なくとも100冊は読みたいところですね。
―取り上げる4冊―
①読書猿『アイデア大全』(フォレスト出版、2017)
②架神恭介、辰巳一世『完全教祖マニュアル』(ちくま新書、2009)
③堀江博文『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』(ダイヤモンド社、2013)
④リチャード・ワイズマン『その科学が成功を決める』木村博江訳(文春文庫、2012)
①読書猿『アイデア大全』
2017年を代表する本の1冊。かなり多くの方が見聞きし、多くの方が手に取ったことでしょう。
本書はタイトルからも分かるように、所謂「発想法」についての本です。
この「発想法」の類の本は、出典の記載もなければ、方法間の繋がりへの言及もないものが多く、およそ「本の体裁」をなしていないものが多いと思いますが、本書はそのような点を見事に克服している点が特徴的です。
また、網羅性にも非常に優れており、それらが具体的な手順と例も示されているため、多くの人が活用できる本になっています。
これだけ「まともな本」が(日本語で)出た(出てしまった)以上、あとは全て、各人が「この本をどう活用するか」にかかっているのでしょう。
発想法という点においては、もはや言い訳のしようがない状況を作り出した(作り出してしまった)本と言えるかと思います。
②架神恭介、辰巳一世『完全教祖マニュアル』
「作る側」からの視点で宗教を解説するもので、宗教(団体)の実情や仕組み、構造といったことが理解できる実に面白い本となっています。
また、“おそろしく”洒落が効いているのも良い。
宗教の理解に役立つと共に、企業活動、対人関係などにも応用できる点が多くあるので、非常に得るところの多い本だと思います。
先に挙げた『アイデア大全』は「皆が読むべき、読んでいることが前提となるであろう本」であれば、こちらは「“実用書としては”皆に読まれるべき“ではない”本」でしょう。
わざわざこんなブログの記事を覗いてくれた奇特な皆様は、ぜひこの本を手に取り、活用してください。
③堀江博文『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』
私は今年になって始めて、皆さんご存知「ホリエモン」の本を手にしました。
最初に読んだのは、SB新書の『本音で生きる』。
まず衝撃的だったのは、「この手の本でよく書かれる内容が多いこと」。
しかし、それらが著者の思考と経験に基づくものであることが読みとれることから、結局、「よく生きる」ために必要なことなど多くはなく、それを実行するか否かにかかっているということをよく理解できる本でした。
その後、初期作品の『儲け方入門』から、今年出版された『好きなことだけで生きていく。』などまで、まとめて何冊か読んでみましたが、その中で一番良かった本が、この『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』。
自伝”風”の作りで、著者の過去の経験などについての記述から、著者の思考、思想がよく理解できる作りになっており、述べられている内容の範囲も広いため、他の著書に書かれていることはほぼ全て、この本でも述べられているように思います。
「ホリエモン」に対するイメージは色々あるでしょうが、彼が(少なくとも著書を通じて)言いたい事というのは結局、
社会的な物語を物語(作り話)であると認識したうえで、自分で考え、自分で行動を起こし続けていくということが、とりわけ現代の日本においては必要なんじゃないの? それに気付いて、とにかく動かなきゃ。
ということに尽きるのではないでしょうか。大事な、あまりに大事なことです。
彼の著作を読んだことのない方には、ぜひこの本を一度読んでみてください。
④リチャード・ワイズマン『その科学が成功を決める』
昨年の記事でも取り上げた、私が2016年に読んだ本の中で一番良かった本『その科学があなたを変える』の著者、リチャード・ワイズマンの著書(出版はこちらが先)。
内容としては、啓発書、ビジネス書で謳われる方法論、そして巷でもはや常識とされる方法論に対し、多くの関連研究を挙げながら、いかにそられの多くに科学的根拠がないかを検証しつつ、科学的根拠があり且つ簡単に実践できる方法を提示している本となっています。
そして、その提示されている内容が優れているだけでなく、『その科学があなたを変える』と同様に、”読者が読める形”で十分に関連研究が挙げられていると同時に、それらを読まずとも、有効な方法を読者が実践できるように、簡潔に具体的な方法を提示する箇所も設けられており、様々な読者や読み方に耐え得る非常に巧い作りになっている点に、非常に感心させられました。
一般向けになると途端に、出典や関連研究の提示をしなくなり、提示があってもそれを読ませる気がさらさらないことが多い(ように思う)日本の著者たちは、ぜひ彼(リチャード・ワイズマン)の本の作りを参考してもらいたいものです。
…今年も、お薦めの中に小説が入りませんでした。
小説は全く読んでいないというわけでもないのですが、小説を人に薦めるのは(個人的には)難しいんですよね。
「誰にとっても」良い小説というのは存在しないでしょうし、「大半の人にとっても」良い小説というのも、なかなかないと思うのです。
ただ、小説が持つ他に代え難い効用というものもありますし、小説を読む時間は増やしたいところ。
そうすれば、来年の記事では、お薦め本の中に小説が入ってくるかもしれませんね。
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