「生きるのが辛い」人へ

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 さて、最後に、私が強く影響を受けた(と思っている)本の内、多くの人に薦められる本を挙げて、この記事を締めたいと思います。 まず、私の思考のベースとなっているであろう本から。

 加藤秀俊『人間関係』(特に3章「ことばと人間関係」社会学的コミュニケーションモデル)、鈴木孝夫『ことばと文化』ヒトと言語の関係性)、W.リップマン『世論』間接経験、「疑似環境」)、フィリップ・ボック『現代文化人類学入門』いかに社会が文化[普遍且つ不変ではない“作りもの”]に塗れているか)、丸山真男『日本の思想』制度の物神化と理論信仰)。

 これらが、現在の私の(生物学的なものを除いた)「情報の組み合わせ」の基盤となっていると思います。

 フィリップ・ボックの『現代文化人類学入門』(残念ながら絶版)以外は、どれも有名な本ですので、読んだことのある方も多いでしょう。
 そして、これらの本の内容を組み合わせれば、これまで私が述べた考えが生じる流れも、ご理解いただけるのではないでしょうか。

 さて、これらの本をベースに、杉田敦『境界線の政治学』塩見鮮一郎『差別語とはなにか』メアリ・ダグラス『汚穢と禁忌』(いずれも、「(言葉による)分節」、つまり恣意的であり作り話であるものが持つ力について述べている)といったものや、


 伏木亨『人間は脳で食べている』
南雲吉則『「空腹」が人を健康にする』(どちらも、食や食欲といったものでさえ、いかに文化(作り話)的なものに規定されているかが分かる)や、


 佐々木典士『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』
モノに対する価値観がいかに社会的な物語にすぎないかが分かる)などの本の内容を加えたものが、(生物学的なものを除いた)私の情報の組み合わせに、(自覚できる部分については)かなり近いかと思います。

 

 何にせよ、どの本も“良い本”だと思いますので、気になる本があればぜひ一読を。 (杉田敦『境界線の政治学』だけは、政治学等の知識がないと読み辛いかもしれません。その場合は、同著者の『政治的思考』(岩波新書、2013)などから入ることを薦めます)

 

 なお、「生きるのが辛い」状態を脱するもっと具体的(直接的)な本はないのか! という方もいるかもしれせんが、…私はよく知らないです。すみません
 ただ、「生きるのが楽になる本」と謳うような本は大量に存在するわけですから、そういった本を読んだことがない人は、読んでみればいいのではないでしょうか。

 …と言っても、この記事を冒頭で引き返さずに読んだ方は既に、そういった本にどれだけ効果があるか疑問に思っていることでしょう。
 だからこそ、冒頭の忠告を過ぎ、この記事を読んでくれたはずです。

 その手の本の内容はよく知りませんが、そもそもの話として、その手の本がこれだけ多く出されている現状から、「本当に有用な本」など、ほぼないことが予想できます
 
「本当に有用な本」があるのなら、それ以外の本は淘汰されるはずです。

 もちろん、「本当に有用な本」は存在するが、宣伝に洗脳されて、そうでない本を買わされる結果として、「本当に有用な本」ではないものが大量に溢れている、ということもあるでしょうが、その場合は、もはや「本当に有用な本」に容易には辿り着けない、という別の問題が生じていることでしょう。

 ですから、その手の本を何冊も読むよりは(有用そうな本を数冊だけ読んで)、上で挙げたような本を読むことで、自分から見える世界自体を変える方がよいのではないと、私は思います。

 ただ、その手の本ではないのですが、1冊だけ直接的、具体的な効果が期待できる本があります
 
それは、リチャード・ワイズマンの『その科学があなたを変える』

 ウィリアム・ジェームズ(「ジェームズ・ランゲ説」のジェームズ)に始まる、行動が感情や思考、性格、思想、肉体等に影響を与える(従来の心理学の逆方向)という説(著者は「アズイフの法則」命名)について、数多くの研究を参照しながら紹介する本です。

 読みやすく、且つ実践しやすい作りとなっている巧い本なのですが、姿勢や行動を変えることで、心理面だけでなく、肉体面まで生理レベルで変わるという理論自体が生活に反映させやすいものである点がまさに、直接的、具体的な効果が期待できる本として薦める理由です。

 「どうしようもなく生きるのが辛く、本を何冊も読む気力さえない」という方は、気力を振り絞って、まずはこの本を読み、行動を変えることで気力が出てきてから、上で挙げたような別の本に進む、というようにすると、よいかもしれません。

 
 この記事は以上です。 お疲れ様でした。


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