私がタバコを辞めるまでの流れ

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 タバコの値上げが続き、公共施設に留まらず、飲食店にまで完全禁煙の流れが進む中、「そろそろ禁煙しないとなぁ…」とお考えの方も多いのではないでしょうか。もちろん、タバコは健康にも悪いですしね…。

 というわけで、この記事では、私が実際にタバコを辞めるまでの流れ(方法)を記していきます。
 喫煙を辞めようと考えている方の参考になれば幸いです。

 本題に入る前に、混乱がないよう、「禁煙」と「喫煙(タバコ)を辞める」という言葉の”使い分け”についてだけ、ここで軽く説明しておきたいと思います。
 この記事ではこの2つの言葉を、違う意味合いで使っています。

 「禁煙」とは字の如く、「喫煙を禁じる」ということです。
 「禁じる」という部分に注目してください。禁じる主体は自分である場合も、他人でもある場合もあるでしょうが、どちらの場合であっても、「禁じる」という言葉には、「本当はしたい(禁じられなければやる)行為が、(様々な力により)行えない」というマイナスのニュアンスが含まれているはずです。

 一方、「喫煙(タバコ)を辞める」と言う場合には、そのようなマイナスのニュアンスは含まれていません。詳しくは後述しますが、「辞めるだけの理由があり、自分で辞めるという選択肢を選んだ」という、プラスのニュアンスが含まれていると考えていいでしょう。

 そして、このニュアンスの違いが、非常に重要なのです。

 また、毎回「喫煙(タバコ)を辞める」と書くと文章が読み辛くなるため、以下では、「辞煙」という言葉も使っていきます。「喫煙(タバコ)を辞める」ことと同義です。

 では、本題に入りましょう。

 



 ・喫煙を辞めようと思ったきっかけ

 「タバコを辞める理由」には、健康上の理由、金銭的な理由、「妊娠した」「子どもが生れた」といった家庭環境上の理由、「職場が全面禁煙になった」といった職場環境上の理由などが主だったものだと思われますが、私がタバコを辞めたのは、これら理由によるものではありません。

 私がタバコを辞めたのは、kindleの月間セール対象になっていた、石川和男『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』という本を読んだことがきっかけになっています。

 この本の中で、著者がタバコを辞めた理由について語られている箇所がありました。
 それは、タバコを吸いに行く時間がもったいない、というものです。

 …なるほど、確かに、「タバコを吸う時間」自体はもったいないと感じなくても、「タバコを吸いに行く時間」は無駄でしかありません。言われてもみれば当然のことですが、私にとっては、そう言われるまでは意識しなかったことです(まさに読書の効用ですね)。

 そして、考えてみれば、喫煙に関しては、喫煙自体にかかる(機会費用=時間を含めた)費用以外にも、様々な費用がかかっています

 喫煙自体にかかる時間以外にも、喫煙できる場所まで移動するのにかかる時間、そして、タバコを買いに行くのにかかる時間などがかかっています。

 タバコを買うのにかかる費用以外にも、ライターや携帯灰皿、コーヒーなどを買う費用がかかっていますし、タバコを買いにコンビニなどに出かければ、つい他のものを買ってしまい、無駄な費用が発生している可能性が高い

 …そう考えると、喫煙が非常にバカらしいことに思えてきませんか?

 これが、私が喫煙を辞めようと考えたきっかけです。

 


・喫煙を辞める準備①
 さて、上記のように「喫煙は非常にバカらしい」と気付き、喫煙を辞めようと考え始めたものの、やはり、実行にはなかなか移せません
 これまで毎日”当たり前”のこととして続けてきた行為を辞めるということ自体、なかなか難しいですし、喫煙者には分かるであろう、タバコを辞めることに対する不安があったのです。

 しかし、「喫煙は非常にバカらしい」という考えは残っています。

 そこで、まずはタバコを辞めるための情報を集めることにしました

 今やネットにも多くの情報が転がっています(この記事も、その内の1つとなります)が、私は主に書籍にあたりました。所謂「禁煙本」の類です。

 ゴミみたいな本も多かったのですが、中には良い本もあり、その本との出会いが結果として、辞煙に繋がりました。

 特に良かった本は以下の3冊です

①磯村毅『リセット禁煙のすすめ』

 全92ページと薄い本で、定価も476円+税という本ですが、興味深い内容に満ちています。
  とりわけ、この手の本では「喫煙者がタバコを吸いたくなる理由」について、「離脱症状」(や「習慣」)といった”何も言っていないのと同じ”ような言葉でしか語られていないことが多いのですが、この『リセット禁煙のすすめ』では、それを「脳波の遅れ」という視点から語る点が優れています

——
『リセット禁煙のすすめ』引用——
・「…実は、普段からスモーカーはノンスモーカーに比べて脳波が少し遅いのです。アルファ波やベータ波が少ないのです。…遅くなる理由はニコチンです。ニコチンは、神経が電気をやり取りするときに使う、神経伝達物質(代表的なものに、アドレナリンや、ドーパミンがあります)の変わりをします。タバコを吸っていると、脳はニコチンをあてにするようになり、神経伝達物質が減って、吸っていないときは、信号が遅れがちになるのです。」

・「生物学的に見ると、喫煙者がタバコを吸う理由は、…遅くなった脳波をもとに戻すためです。脳波がもとに戻ると、なんとなくタルイ感じがとれ、集中力が戻ります。…タバコを吸うと、ホッとするのも束の間、ニコチンの遅発性の作用のため、また脳波が遅くなってきますそれでまた、脳波をもとに戻してもらうために、もう1本タバコを吸ってしまいます。すると、また退屈な感じや落ち着かない感じが消え、スモーカーはやっぱりタバコはいいものだ、と思います。…いつまでも、同じことが繰り返されるのです。」

・「…問題なのは、この脳波が遅くなってきた状態(ニコチン切れのストレス状態)の感覚は、非常に微妙で曖昧なものだということです。そのため、他の原因で起きるストレスと区別がつかないのです。…あなたがタバコから得られると思っていたこと、ホッとするというのも、ストレス解消になるというのも、集中力が上がるというのも、気分転換するというのも、みんな、そうではなかったのです。ニコチンが切れていたのがもとに戻った感覚を、そうだと勘違いしていただけなのです。」

・「…血液中のニコチンは一晩でほとんどなくなり、2~3日もすれば、完全に体から抜けます。それにつれて、脳波の遅くなる現象も見られなくなっていきます。ですから、禁断症状が出るといっても、脳波の遅れによる身体的な症状は、せいぜい3日間です。…ニコチンの場合、禁断症状はほとんどが精神的な依存による症状です。…タバコ詐欺の正体に気づき、タバコに対する興味が失われ、吸いたい気持ちが出てこなくなった時点で、禁断症状の大部分は永遠に消えてしまったのです。」

・「本当にタバコというものは恐ろしいものです。人生のいろいろな楽しみを忘れさせていき(ドーパミンが減るためです)、のんびりくつろいでいるときでも、なんとなく味気なく落ち着かない不安な感じが(ノルアドレナリンが減るためです)、もともとタバコとは関係なかったリラックスや楽しみをすべてタバコのおかげだと思わせてしまうのですから。
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 「タバコを吸いたい」という気持ちは、「ニコチンによる脳波の遅れ」が起因であるということは、“タバコがタバコを吸わせている”わけです実にくだらないことです
  そして、3日もすれば脳波の遅れが戻るのであれば、喫煙を辞めることを恐れる必要はないのです。

 私はこの本1冊で、辞煙を始める決心がほぼ出来ました。それくらい、よく出来た本です。
  たまに在庫切れ(絶版ではないので、そのうちまた在庫が入る)になることが、唯一の欠点でしょうか。在庫があるうちに注文しておきましょう。

 また、同著者の『リセット禁煙』(PHP文庫)も、ほぼ同じ内容なので、そちらを読んでもよいかと思います。
「とにかく安い方がよい」「文字が大きめな方がよい」「横書きがよい」というのであれば、『リセット禁煙のすすめ』の方を、「文庫サイズがよい」「縦書きがよい」というのであれば、『リセット禁煙』の方を、というように選べばよいでしょう。

 

②アレン・カー『禁煙セラピー』

 「禁煙本」の中ではあまりに有名であり、1996年の初版からの超ロングセラー本。

 内容としては、喫煙に関する虚構や幻想を破ることに重点が置かれ、禁煙で失うものなど一つもなく、むしろ吸わない人には素晴らしい利点がたくさんあるのだということを強調して語る作りとなっています。

 読んでみると、強く喫煙を辞める気にさせてくれます。また、喫煙を辞めるにあたっての”落とし穴”が多数挙げられ、その回避法も述べられているため、失敗する可能性をかなり下げてくれるでしょう。

——『禁煙セラピー』引用——
・「ニコチンの禁断症状は…ただ何かを失ったような、落ち着かない感覚があるだけです。…このような精神面での禁断症状を長時間味わうと、喫煙者は緊張し、不安に駆り立てられ、自信がなくなり、いらいらします。…ニコチンという毒物に飢えるのです。」

・「タバコを欲しがってパニックに陥っていたのは私の弱点でもタバコの魔力でもない、ただ一本目のタバコがなした技であり、それに続く一本一本がパニック感情を(消すのではなく)引き起こしていたのです。」

・「『ちょっと一本』なんて吸い方はありません。喫煙は連鎖反応ですから、完全に断ち切るまで一生終わりはこないのです。『ちょっと一本』とか『特別の一本』なんていう神話を信じているから、やめたあとも吸いたくてたまらないのです。」

・「あなたが最初の一本を吸ったとき、その時点で残りの人生ずっと、毎日、一日中吸い続け、やめることなどできなくなると思っていましたか? ―もちろん、そんなことは思いませんでしたね。 あなたはこれからの人生、毎日、一日中吸い続け、もうタバコをやめることはないですか? ―もちろんそんなつもりはないですね。 ではいつやめるのですか? 明日? 来年? 再来年?

・「楽に禁煙するこつは『これで最後だ』と確信することです。『やめる』と決心し、やめたことを『望む』のではなく『認識』するのです。決して疑問に思ったり考え直したりしないこと。禁煙したことを喜びましょう。」

・「『タバコのせいでそんなにイライラするなら、もうすぐタバコから解放されるなんて本当に素晴らしい。禁煙する勇気と思慮があったなんてあなたって本当にすごいわ』」
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 これだけでも辞煙への意欲が高まるのではないかと思いますが、「禁煙したことを喜びましょう」というのは特に、喫煙者にはなかなか出てこない発想で興味深いはずです。

 なお、同著者の「禁煙本」は何冊かあり、私も『〈禁煙セラピー〉で9割タバコがやめられる』やThe Illustrated Easy Way to Stop Smoking(洋書)などを読んでみましたが、やはり『禁煙セラピー』が、一番出来が良いと思います。

 

③ジリアン・ライリー『イギリス式「完全禁煙プログラム」』

 この本は、「吸うか吸わないかは自由」であるということを前提に、欲求を受け入れ、「それでも今は吸わない」という選択を積み重ねていく、ということが強調されており、その点が「禁煙本」の中でも特徴的だと思います。

 

 私が「禁煙」と「辞煙(喫煙を辞める)」というように言葉を使い分けているのも、この本からの発想によるものです(この本では「禁煙」という言葉が使われていますが)。

——
『イギリス式「完全禁煙プログラム」』引用——
・「『タバコを吸うことできない』『タバコを吸っちゃいけない』などと思うことによって、自分にはタバコを吸う自由があるということを忘れてしまったとしたら、『奪われた』という気持ちになります。そして、その状態に逆らおうとするでしょう。…あなた自身が自分の自由な意志で選択をしたのなら、『タバコを吸う自由』を奪われたことにはなりません。」

・「他人が禁煙を強制しているのではありません。怒ったり恨んだりしているかもしれませんが、それは、自分には選択の自由があることを忘れているからです。」

・「禁煙するためにすべきなのは、タバコを吸うというかたちでその選択の自由を実際に使わなくても、タバコを吸う自由はあるのだと理解する作業です。」

・「タバコを吸うかどうかの選択は、吸おうかどうしようかと考えた、その場そのときだけについてのことです。…『二度と吸わない』と考えるのではなく、『いまこの瞬間についてはタバコを吸わない』と考えて禁煙をはじめるのです。そして、そのような選択を何度も何度も重ねていくのです。…タバコを吸うか吸わないか選ばなければならない瞬間は、しだいに少なくなっていきます。」

・「いまは吸わないことを選択しても、いつでももとに戻れるという事実を視野に入れておきましょう。…悲しむ必要などないとわかるはずです。」
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 (引用は難しいのでしませんでしたが、)タバコをやめなければならない理由の後に、「でも、タバコを吸うことはできる」という言葉を加えて文を作るトレーニングも、かなり有効です。

 『リセット禁煙のすすめ』や『禁煙セラピー』は、辞煙を”始める”際に特に効果があるタイプの本であるのに対し、この『イギリス式「完全禁煙プログラム」』は、実際に辞煙を”始めてから”特に効果があるタイプの本だと思います。
 私も、この本を読んでいなければ、辞煙を始めることは出来ても、続けられなかったかもしれません。

 


・喫煙を辞める準備②
 (主に)上記3冊の内容を踏まえ辞煙を始める前に、一枚の紙を作成しました。
 考えや意志を文字に起こし、「いつでも文字の形で認識できる状況」を作ることは、辞煙に限らず、何事においても重要ですからね。

 これまでに読んだ書籍の内容や、作成中に湧いてきた自分の考えなどから枠組みを作り、辞煙前の段階で必要な箇所を埋めたものが、以下のものになります。
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 一部内容は伏せていますが、皆さんが同様のものを作る場合には、誰かに見せることもないでしょうから、自分が思うことを素直に書きましょう。

 なお、空白部分は、辞煙開始時点から自筆で書き込んでいきました。
 (ちなみに、記録が5時間から始まるのは、私の睡眠時間が大体5時間だからです)

 


・辞煙開始
 必要な準備を終え、いよいよ辞煙開始です。
 ただ、ここからは想像以上に簡単に事は進んでいきました

①開始日の調整
 タバコを辞めるには、辞めようと決意したその時から始めるのが一番だとは思いますが、3日程度の”肉体的”禁断症状は避けられないことを踏まえ、私の場合には、休みの日(2連休)に開始することにしました
 ただ、ここで「今回はやめて、次の休みにしよう」と考えて先延ばしにしてしまうと、おそらく辞煙は不可能になるでしょうから注意が必要です。同様の方法を採る場合には、あくまで、“直近の”自分にとってのベストのタイミングで始めるのだ、というように決め、例外は認めないとしましょう。

 また、開始日までは既に取り上げた本などを読み返し、辞煙に対する理解や決意を固めます。

 そして、開始前日の夜、寝る直前に一本を吸ったら、タバコが残っていても全て処分します。ライターなどの喫煙器具も処分しましょう。
 既に取り上げた本などを読めば分かることですが、ここで喪失感などに囚われてはいけませんタバコを辞めることをマイナスに捉えるのではなく、プラスに捉え、喜びのまま就寝しましょう

 

②開始日
 いよいよ辞煙開始です。
 ただ、“開始”と言っても、何か新しいことを始めるわけではありません「タバコを吸わないだけ」なのです

 …とは言っても、私の場合にはさっそく寝起きに、タバコを吸いたいという欲求が出てきました。
 しかし、それは想定済みです。そして、対処法も、開始前に十分に理解しています。

 「タバコの無意味さ」、「タバコを吸いたくなるメカニズム」、「喫煙は連鎖反応であり、ここで吸ったらまた喫煙のループに戻る」、「辞煙は自分の意思で決めたこと」、「タバコを吸う自由はあるが、積極的、能動的に”今は”吸わないという選択をする」

 このようなことを、タバコを吸いたくなる度に思い出すのです。
 そうすれば、タバコを吸いたいという欲求は、そのうち消えていきます

 逆に、そのような理解がない状態で、ただただ「辞めるぞ!」という意志のみでタバコを辞めようとすると、まず上手くいかないでしょう。
 ほとんどの場合、すぐに苦痛を感じ、それをタバコを吸う理由にして、再び喫煙に戻るはずです。

 つまり、辞煙に大事なのは前準備であり、それがきちんとできれば、あとはただ始めるだけなのです。

 それでも不安な場合は、起床後すぐに出かけてしまいしょう

 自分の好きな活動をできる場所に行き、タバコなしでも楽しめる時間を過ごしましょう
 (私は図書館と本屋に行きました)

 この”タバコなしでも楽しめる時間”は、辞煙にとって大きな利益となります。
 その後タバコを吸いたくなった際に、タバコなしでも楽しく過ごせたという”事実”を思い出せば、タバコを吸う理由などないということを、自分の経験から理解できるのです。

 また、特にそのような場所が思い付かない場合には、スポーツをしに行きましょう
 スポーツ中にタバコを吸うことはできませんし、さすがに体を動かしている最中には、タバコを吸いたいという欲求も出てこないはずです。

 休憩などに入ればタバコを吸いたい思いが出てくるかもしれませんが、直前までタバコを吸いたいという思いさえなく、スポーツをしていたという”事実”を思い出してみてください。そして、すぐにスポーツに戻り、タバコを吸いたいという思いさえなく、スポーツをしている時間をさらに重ねてください。

 なお、特に熱中できるようなスポーツも思い付かない場合には、きつめの登山がお薦めです。(私は、辞煙2日目に行きました)
 自然を感じながら、肉体的な辛さも存分に感じてください。
 そして、タバコを吸いたいとさえ思わなかったという”事実”を、今後の辞煙に活用しましょう。

 

③開始後
 休みを上記のように過ごせたら、あとは吸いたいという欲求が出てくる度に、

 「タバコの無意味さ」、「タバコを吸いたくなるメカニズム」、「喫煙は連鎖反応であり、ここで吸ったらまた喫煙のループに戻る」、「辞煙は自分の意思で決めたこと」、「タバコを吸う自由はあるが、積極的、能動的に”今は”吸わないという選択をする」(+「タバコを吸わずにこれまで過ごせてきたという事実が自分にはある」)

 …といったことを思い出し、その欲求を払いましょう。
 欲求を”消す”のではありません。前準備をしっかり行っていれば、自然と欲求は”消えていく”はずですし、そうなっていなければいけません。

 そして、タバコを吸わずに過ごせていることを喜びましょう

 タバコにお金も時間も使わずに、健康を害することもなく、そして、タバコ中心に生活を組み立てる必要もなく過ごせることは、非常に喜ばしいことのはずです。

 特に、「タバコ中心に生活を組み立てる必要がない」というのは、辞煙の大きなメリットだと思います。
 出かける際に、「そこでタバコを吸えるかどうか」を考える必要もなく、「前のタバコから○○(時間)経ったから、そろそろタバコを吸おう」などいう、強迫観念めいた無意味な思考に陥ることもなく、くつろいでいる最中に「タバコが切れそうだから買いに行かなきゃ」などと考える必要もなくなるのです。

 タバコを吸わずに過ごせる時間、タバコを吸わずに過ごせる喜びといったものを重ねるにつれ、タバコを吸いたいという欲求が現れる頻度も、どんどん減っていきます

 そして、辞煙から3日も経てば、ニコチンは体からほぼ完全に抜けており、生物学的には、タバコを吸う必要性はもはや残っていません(そもそも吸い始める必要性がないのですが)。
 それでもなお、タバコを吸いたいという思いが出てくるなら、それはタバコが見せる”幻想”でしかないのです。その幻想には、金銭や時間、思考の自由などの資源を搾取され、毒物にコントロールされてまで見る価値などないはずです。

 これをはっきりと意識できた瞬間、私は「辞煙しよう」という考えさえなくなりました。
 おそらく、皆さんも同様のことを意識できた瞬間、辞煙は成功に至るはずです。

 


・おわりに
 思っていたよりも長くなってしまいましたが、結局、辞煙が成功するかどうかは、タバコを吸いたくなるメカニズムを知り、タバコの無意味さを”理解”したかどうかにかかっているのでしょう。実際にタバコを辞めてみれば、実に簡単なことだったと思います。

 皆さんも、辞煙を恐れる必要などありません。前準備を確実に行えば、驚くほど容易にタバコは辞められるはずです。
 それに、仮に失敗したとしても、また喫煙者に戻るだけであり、それ以上でもそれ以下でもありませんそれなのに始める前から不安があるのであれば、そこにはまさに、タバコが見せる”幻想”があるのです。それに気付くこともまた、辞煙の助けとなるはずですから、まず一度、辞煙に取り組んでみましょう。

 最後に、辞煙を始めた後、どうしても気持ちが揺らいでしまう瞬間が来た際の(私が考えた)対処法を挙げ、この記事を終えましょう。

 まず、あなたが知るなかで、一番バカだと思う喫煙者を思い浮かべてください。
 そして、その人物がタバコを吸っている姿を思い浮かべてください。バカがバカ丸出しでタバコを吸っている姿です。

 …さて、あなたが喫煙者であった頃は、非喫煙者の目には、そのバカ丸出しの人物と同じように映っていたのではないでしょうか。
 そして、また喫煙者に戻り、そのように見られることを、あなたはよしとするのでしょうか。

 それをよくよく考えてみてください。



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