マテバシイの実(ドングリ)を採って食べる②

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 秋になり、3月に書いた「マテバシイの実(ドングリ)を採って食べる」の記事が急激に伸びてきたので、改めてマテバシイの実を拾い、皆さんが参考にしやすいよう、内容を分かりやすくまとめることにしました。

 様々な場所に植えられているため容易に拾え、アク抜きなどなしで美味しく食べられるマテバシイの実。
 本記事の内容を参考に、ぜひ皆さんも採取して、食べてみてください。



①採取
 ドングリには、タンニンという渋み成分が少ないものと、多いものがあります。
 この記事で扱っているマテバシイの他には、スダジイやツブラジイなどもタンニンが少ないのですが、他のドングリは総じてタンニンが多く、かなり時間と手間のかかるアク抜きの作業が必要になります。
 そのため、マテバシイを拾う際には、間違って他のドングリを拾うことのないよう、気を付けた方がいいでしょう。


・葉から見分ける
 マテバシイの木や葉がどんなものかを既にご存じの方というのは、そう多くないのではないでしょうか。

 ただ、マテバシイは葉が大きく、防風や目隠しの効果が期待できるためか、様々な場所に植えられているので、何度も見たことはあるはずです。

 こんな葉が付いている木を見たことがありませんか?

 見分ける際に一番分かりやすいのは、この葉っぱでしょう。常緑樹なので、一年中このような葉がついています。

 楕円形に近い形をした大きな葉。
 樹齢などにもよりますが、10cmを超えているものがほとんどです。
 また、光沢があり、深い緑色をしています。

 スダジイの葉と見比べてみましょう。上がマテバシイ、下がスダジイの葉です。

 形も大きさもかなり違うことが見てとれるかと思います。

 また、葉に鋸歯がなく、葉の縁が滑らかな点も、マテバシイの木を見分けるポイントです。
 ドングリの形が割と似ている、シラカシの木の葉と比べてみてください。

 このように、葉の縁がギザギザしていたら、マテバシイではありません。

 縁が滑らかな、楕円形に近い大きな葉がついている木がマテバシイの木と覚えておいてください。


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・ドングリ(実)を見分ける
 葉からマテバシイの木であると判別できれば、あとはその木の下に落ちているドングリを拾い、その実を基準(手本)にして、明らかに形の違うものは排除しながら拾っていけば問題ないかと思いますが、一応、ドングリ(実)だけでマテバシイかどうかを見分ける方法も書いておきましょう。

 マテバシイの実は円柱に近い形をしており、サイズもドングリの中では大きめです。小さくても1.5cmくらいはあり、大きいものは3cmを超えることもあります。
 1.5cmもないほど小さかったり、球に近い形をしたドングリは、マテバシイの実ではないと考えてください。

 また、尻の部分(殻斗という、いわゆる帽子が付いていた部分)が凹んでいるのも、マテバシイの実の特徴です。
 例として、シラカシの実と比べてみましょう。

 どちらがマテバシイか分かりますか?
 左がマテバシイ、右がシラカシの実です。

 違う角度でもう1枚。

 マテバシイの方は、尻の部分が平らで、むしろ若干凹んでいるのが分かるでしょうか。

 1.5cm以上あり、円柱に近い形で、尻の部分が平ら(若干凹んでいる)であれば、まず間違いなくマテバシイだと覚えておいてください。


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②実の選別
 マテバシイの実を集めたら、次は実の選別をします。

 というのも、落ちている実すべてが(美味しく)食べられる状態とは限らないのです。
 中の実が十分に成長していないものや、既に虫に食べられてしまっているものを除外しましょう。

 方法は簡単。
 バケツにでも張った水の中に入れてみるだけです。
 そして、沈んだ実だけを食べます。(浮いた実の中身の例は、前回の記事を参照)
 この写真は(前回の記事で書いた)3月に採取した際のものですが、10月に採取したものでも、結構水に浮くものが多かったです。
 採取する際には、食べたい量の1.5倍くらい拾うようにした方がいいかもしれません。

 なお、どれくらい水に浸けておけばいいかについては、正直よく分かりません。
 ただ、数時間浸けておけば虫出しなどの効果も出るでしょうから、まぁ、数時間でいいかと思います。

 水から取り出したら、ザルや網にでも入れて外に干しておき、食べる際にはそこから必要な分だけ持っていくようにすればいいでしょう。

 ただ、大量に採取した場合には、ある程度の期間保存しておく必要があるので、1日くらい水に浸けた後、数日は日向に干しておくべきでしょう。
 その後については、温かい場所で保存する方法と、茹でたものを冷凍しておく方法があるようです。前者についてはコチラのサイト、後者についてはコチラの本などを参照してください。


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③調理
 実の選別が済んだら、いよい実食です。
 マテバシイは生でも食べられるので、生の木の実の味が好きな方は、殻を割ってそのまま食べてもいいかと思いますが、マテバシイの実はから炒りして食べるのが一般的です。


・から炒り
 フライパンにマテバシイの実を入れて弱火で炒る、ただそれだけですが、一応手順を載せておきましょう。

 まず、マテバシイの実を軽く洗い、それをフライパンに入れます。

 マテバシイの実を入れたら、弱火で炒っていきます。

 たまに転がしましょう。

 すぐ殻が焦げ始めますが、気にする必要はありません。
 ただし、フライパンはどうしても傷むので、捨てるつもりのフライパンを使うか、木の実のから炒りなど専用のフライパンを用意しておきましょう。(今回は、100均のフライパンを購入し、使っています)

 しばらく炒っていると、殻が割れ始めます。
 頭から尻の部分まで大体の実が割れるくらいまで、たまに転がしながら炒り続けましょう。

 皿などに取り出したら、

 殻を剥いて食べましょう。
 
 ピスタチオや落花生を剥く感覚です。

 さて、から炒りしたマテバシイの実の味ですが……

 クリとピーナッツを足して割ったような味

 …といったところでしょうか。

 素朴な甘さがあり、おやつ等によさそうです。

 また、少し塩をかけて食べると、甘みと塩味が調和して、より美味しく食べられますよ。


・素揚げ
 あまり一般的な調理法ではないようですが、素揚げしても美味しく食べられます

 手順は、殻を割って、中の実を素揚げするだけ。

 すると、「ほぼ芋けんぴ」といった味になります

◆殻を割って中の実を取り出した様子(左上はスダジイの実)。

 ペンチで殻にヒビを入れると、実を取り出しやすいかと思います。
 また、上の写真では薄皮も取り除きましたが、面倒であれば取り除かなくても大丈夫です。

◆素揚げしている様子。
 前回の記事でも書いたように、少し焦げるくらいまで若干長めに揚げると、芋けんぴの味に近くなるようです。
 ただ、どうしても実の味には個体差があるので、あまり甘くない場合には、砂糖や塩をかけて食べることをお勧めします。

◆皿に取り出した様子。
 アーモンドっぽい見た目になりますが、味は芋けんぴっぽいんですよ。


・その他調理法
 から炒りが一般的なようですが、他にも、栗ご飯の要領でマテバシイを米と混ぜて炊いたり(ドングリご飯)、ドングリクッキーにしたりする調理法もあるようです。
 ドングリご飯についてはコチラのサイト、ドングリクッキーについてはコチラコチラのサイトを参照してください。

 また、大量に採取した場合には、デンプンを抽出すると使い道が広がります。コチラのサイトなどを参照。


●今回主要参考文献

 コンパクトでありながらも写真が豊富で、特に「木の葉一覧」と「どんぐり一覧」のページが参考になります。


●関連記事


●美味しい木の実ハンドブック

 何冊か木の実に関する書籍を読みましたが、この本は鮮明な写真が多く載っており、記述内容も適量であるため、非常にオススメです。木の実に関心のある方はぜひ。


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